この記事を読むことで皮膚炎が起きた時に、ビタミンB群の役割を理解して、必要に応じてサプリメントとして選択できる知識を得ることができます。
目次
背景
皮膚炎に関連する栄養素としてビタミンB群は知られていますが、その経過や実態が理解されないまま広がっています。そこで、今ままでの研究結果や論文などを参照しながら、皮膚炎とのつながりを伝えさせていただくこととなりました。
アトピーとはアレルギー素因を持つ疾患
アトピー性皮膚炎(以下アAD)は,増悪・寛解を繰り返す,瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くはアトピー素因を持つ.アトピー素因とは,①家族歴・既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎,アトピー性皮膚炎のうちいずれか,あるいは複数の疾患)があること,または②IgE抗体を産生しやすい素因をさす.ADの病態は,皮膚バリア,アレルギー炎症,瘙痒の3つの観点から考えると理解しやすい
(1)とガイドラインに定義されています。皮膚のバリア機能は、栄養不足でも起こる病態です。そこで、アトピーと栄養に関する論文を確認していきます。
アトピーにみられるビタミンB不足の傾向
ADはアレルギー疾患を元に皮膚に炎症症状が起こるものです。皮膚のバリア機能が低下するためなのですが、それは栄養不足でも起こります。どの栄養素が不足しているかの病態を知るための検査が実施されていました。
ビタミンB2の欠乏
AD患者のうち0歳~43歳の131例〔平均年齢8.7歳)を対象とした。血中VB,値の測定はエスアールエル・ラボに依頼し、HPLC法を用いた。基準値は50~84ng/m2とし、成人29例と小児102例に分けて検討した。(結果)131例中51例(38.9%〕の患者で血中VB2値が基準値に比べて有意に低く(平均値44.56の、VB2欠乏症がみられた。成人と小児を比較すると成人では30例中15例(50.0%)小児では101例中36例(35.6%)で,成人の万が高率であった。(2)との報告があります。
他にも「ビタミンB2の欠乏時にはより強い炎症が長く続くが, 負荷時には軽微であつた。アレルギー性接触皮膚炎発現に関しては, その免疫学的経過に刺激を与えることのみならず, 全身的な栄養状態も関与する」(3)という刺激よりも栄誉状態によって炎症の期間が変化するという研究もある。
それでは、そのビタミンB2はどのような役割を体で担っているのでしょうか?下記に説明させていただきます。
ビタミンB2の役割
ビタミンとは、微量で、動物の生理機能を調節する働きのある一群の有機化合物。体内で合成することができず、栄養素として外からとり入れなければならない。栄養素のことをさします。それぞれ、体の中で部位によって濃度が異なり、不足することによって様々な症状を引き起こします。ビタミンBは水溶性のビタミンで、B1,B2,ナイアシン、パントテン酸,B12,など種類があり、ビタミンB郡とまとまって称されます。
ビタミンB2の役割は以下の通りです
- 脂質代謝
- 粘膜機能の保持
- エネルギー代謝
上記の役割を担っています。ですので、不足するとビタミンB2が多い部位や役割を果たす組織において、症状が生じます。
アトピー性皮膚炎もその1つです。
ビタミンB2が不足する原因
ビタミンB2の摂取不足や消費過多になると、症状が起こります。
ビタミンB2は腸内細菌が生合成を担っています。(5)ですので、腸内環境や腸内細菌のアンバランスによって生合成ができなくなり、不足する事態が起こります。
ビタミンB2は脂質代謝と関連しています。そのため、過度なあぶらの摂取によって消費することもあります。
ビタミンB2不足の解消法
腸内環境の改善
腸内細菌がビタミンB郡を生合成しております。ですので、サプリメントで補うだけでなく、自分自身の腸内環境を整えて、作れるようにすることも改善の手立てとなります。
タンパク質摂取で貯蔵
ビタミンB郡は水溶性のビタミンで摂取したら、余剰分は尿となって排泄されると思われています。しかし、吸収したうち2〜6週間は貯蔵されます。しかし、タンパク質不足になると、その量は、明確に減少するので、タンパク質を摂取して貯蔵できる状態にすることで、欠乏状態を防ぐことができます。
この記事のまとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
アトピー症状はアレルギー性ほ皮膚炎です。しかし、視点を変えてみると消耗性疾患の側面もあります。特に、栄養素の不足によってバリア機能が回復しきらないので、炎症を起こり、栄養素を消費して、さらに肌がもろくなる悪循環に陥りやすいです。皮膚の炎症を抑えるだけでなく、必要な栄養素を補給することで本来の肌へ回復を促すことができます。是非とも、スキンケアと営養補給を組み合わせてくださいませ。
参考文献/論文
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版(2016 年 126 巻 2 号 p. 121-155)(1)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/126/2/126_121/_article/-char/ja/
W174 アトピー性皮膚炎とビタミンB_2欠乏症(2000 年 49 巻 2-3 号 p. 277-)(2)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/49/2-3/49_KJ00001634263/_article/-char/ja/
実験的アレルギー性接触皮膚炎発現に影響をおよぼす因子について(1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1164-1170)(3)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishinihonhifu/43/Suppl/43_Suppl_1164/_article/-char/ja/
皮膚組織のビタミンB2について 皮膚科領域におけるビタミンB2の研究 第Ⅳ報(1969 年 79 巻 5 号 p. 322-)(4)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/79/5/79_322/_article/-char/ja/
腸内細菌によるビタミンB_2の合成(第2報(1951 年 4 巻 p. 440-446)(5)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/4/0/4_KJ00003210141/_article/-char/ja
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