この記事を読む事で、ビタミンCへの理解とサプリメントを摂取するときに迷わず選択できる知恵を得ることができます。
目次
背景
アトピー性皮膚炎は、アレルギーによる炎症性疾患である。そのため、炎症を抑える薬の投与以外にも、抗酸化のサプリメントの併用が見られる。多くの種類のサプリメントを摂取する事で、効果をえられるが、1つ1つ効果効用が理解できていないと、いずれのサプリメントもやめるにやめられない状況に陥ってします。そこで、本記事では、ビタミンCへ対する研究をまとめ、事例をもとに共有するに至りました。
ビタミンCの体内動態
ビタミンCには種類がある
ビタミンC(アスコルビン酸)は,生体における主要な水溶性抗酸化物質である。アスコルビン酸(ビタミンC)には4種の異性体が存在する。アスコルビン酸は,分子内に二つの不斉炭素原子を有するため,Lキシロアスコルビン酸,D一キシロアスコルビン酸,Lアラボアスコルビン酸,D一アラボアスコルビン酸の4種の異性体が存在する。これらの異性体は,ほぼ同様の化学的性質をもち,いずれも強い還元性を示す。
吸収経路
アスコルビン酸は,ビタミンC輸送担体(sodium-dependentvitaminCtransporter;SVCT)によって細胞内に取り込まれる。SVCT1は,小腸,腎臓,肝臓に発現しており,おもにアスコルビン酸の小腸での吸収や腎臓近位尿細管からの再吸収に寄与している。一方,SVCT2は,副腎などの内分泌腺,神経組織,骨組織などに発現しており,組織特異的なアスコルビン酸の取り込みに寄与していると考えられる。
ビタミンCの研究
ビタミンCと酵素反応
肝臓のCholから胆汁酸の生合成の活性酵素であるcholesterol7α一hydroxylaseの活性がVC欠乏により低下。
VC欠乏時には肝臓を中心に炎症様変化が起こる。(1)
ビタミンCと免疫
ビタミンCの摂取は炎症性サイトカイン産生において重要な因子の発現を抑制し,炎症抑制効果を示す可能性がある
免疫細胞では比較的高濃度のビタミンCが貯留されている。(2)
ビタミンCと炎症
急性期タンパク質の肝臓での発現という点でみると,ビタミンC欠乏症状では,ある種の炎症反応と同様の変化が起きていると考えられる。(3)
血液中のIL6およびコルチコステロン濃度を測定したところ,いずれもビタミンC欠乏によって上昇していた。
ビタミンC欠乏による急性期タンパク質の発現変動に,グルココルチコイド濃度の上昇が関与する可能性は低い。
アトピーに対する有用性
アトピー性皮膚炎患者の臨床的特徴として血清カイロミクロン,VLDL,過酸化脂質の増加が認められ,また白内障有症率の高いこと,酸化的ストレスに対するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)誘導能の低下などは,患者の高脂肪食,高糖質食(砂糖)およびミネラル摂取の少ないことを示唆している.
免疫学的にはサプレッサーTcell(CD8+Tcel1)低下,ヘルパーTcell(CD4+Tcell)ではTh,/Th,2比の低下,即ちTh,サイトカインパターン(II.−4,IL−5,IL−10)がThLサイトカインパターン(IFN一γ,IL−2)より優位であり,また好申球の機能低下も認められている.
改善事例
酸化的スFレス(高濃度のNO),PGE、はTh,を阻害しT現優位の方向をもたらす.これらの事実から患者の食事指導(脂肪,特に植物性脂肪および砂糖摂取制限)およびアスコルビン酸,ビタミンE,β一カロテン等の抗酸化ビタミンを投与することで,重症でしかも難治性アトピー性皮膚炎が顕著に改善
投与量
投与量はアスコルビン酸:500mgX3/day,ビタミンE:100mgx3/day’,β一カロテン:7.5mg×2/day,ビオチン:2mgx2/day
EPA,DHAの投与量は82.5mgx3/day
この記事のまとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
アトピーは炎症性疾患ですので、抗酸化や抗炎症の栄養素が改善に導きます。抗酸化や抗炎症の栄養素やサプリメントは数多くありますが、それらが不足すると現れる体の働きを知っておくことで、どの栄養素を摂取すればいいのかがわかります。
ビタミンC単体でも、免疫、抗炎症、抗酸化の効果があります。しかし、単体よりも複合で撮った方が臨床上の報告があります。もし、ご自身で栄養素を撮られる場合は、これらの摂取量や種類を目安にされると良いです。
参考文献・論文
ビタミンCの生合成制御と生体防御・疾患に関わる生理機能の解析(2015 年 89 巻 4 号 p. 171-173)(1)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/89/11/89_KJ00010091114/_pdf/-char/ja
免疫応答におけるビタミンCの生理学的役割(2013 年 87 巻 9 号 p. 527-529)(2)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/87/9/87_KJ00008828840/_pdf/-char/ja
抗酸化ビタミンの体内動態とその生理作用(3)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/58/6/58_6_343/_pdf/-char/ja
アスコルビン酸を含む抗酸化ビタミンとアトピー性皮膚炎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/69/11/69_KJ00001709293/_pdf/-char/ja